ファッションカルチャーで常に時代を先駆けるBEAMSで「ファッション×メタバース」の現在とミライを教えてもらいました。
日付:2023.1.20
部活帰りの中学生メンバー達が向かった場所は、神宮前にあるセレクトショップ「ビームス」のオフィス。今回のプレインターンシップでは、30万人が来店したビームスバーチャル店舗をたっぷり体験。ビームス初のVR担当社員さんから、いち早くメタバースに参入したビームスの狙いを教えてもらいました。
オレンジ色のロゴでお馴染みのアパレルブランド「ビームス」は、セレクトショップの形態をとることで「ビームスに行けば、今、イケてる商品と出会える」お店づくりをしている。株式会社ビームスの傘下には、ビームスの他に、フィギュアや漫画、音楽といった多様なレーベルを抱えており、その数は30を超える。これらのレーベルが分野横断的にコラボすることで、個性あるオリジナルアイテムも開発されているようだ。
今回のプレインターンシップの舞台は、ビームスの広告やマーケティング、店舗デザインを手掛ける株式会社ビームスクリエイティブだ。例えば、アパレルのノウハウを活かした異業種コラボレーションの仕掛けを担っている。過去にはJAXAとコラボし、野口宇宙飛行士の国際宇宙ステーション滞在ウェアの制作過程を収めた動画『宇宙服はじまる』を公開。その他にも、NetflixやZiplocともコラボし、「ビームスのフィルターを通して世の中にインパクトを与えようと」戦略を練っているそうだ。
そんなビームスクリエイティブが注力する施策の一つが、VR上で開催されるバーチャルマーケットへの出店だ。バーチャルマーケットはギネス記録にも認定された世界最大のVRイベントで、16日間で160万人が訪れた実績を持つ。5度目の出店となった2022年冬期のバーチャルマーケットに、ビームス原宿店をモデルにしたバーチャルショップを出店し、30万人ものお客さんが来店した。
2019年からビームス初のVR事業を任されているビジネスプロデュース部課長・木村淳氏が、メタバースに参入した4つの理由を教えてくれた。1つ目は、アバターを用いた自由な自己表現に伴い、ファッションの幅の広がる可能性があることだ。 過去のプレインターンシップで何度もファッションショーを見てきたメンバーは、「コレクションアイテムには華があるけれど、現実世界で切る勇気を持てるかと言われれば躊躇う側面がある。でも、アバターなら着れるかもしれない。」という木村さんの言葉に頷いていた。2つ目は、未だルールが確立していないカオスな市場だからこそ、自由なビジネスやファッションアイデアが生まれる余地があることだ。「ごちゃごちゃな世界であることがすごく面白い」と木村氏は笑顔で語る。3つ目は、衣服の廃棄を削減でき、環境負荷を減らせること。 4つ目は、売れる商品のデザインが優先されている近年で、メタバースならば衣服の売れ残りを恐れず、デザイナーが本当に作りたいデザインに挑戦できることだ。以上の4点から、ビームスはメタバースに挑戦する意義を感じ、メタバースの活用事例が乏しい2019年から手探りで進めてきた。
百聞は一見にしかずということで、いよいよメンバーがバーチャル店舗を体験。リモコンを持ち、イヤホン付きゴーグルをつけると、ビームス原宿店にそっくりなお店の前に佇む、ターコイズのタートルネックにダークグレーのジャケットを羽織った男性のアバターが目に飛び込んできた。器用に手を振ったりポーズを決めながら「聞こえてますか〜」と呼びかけてくれるこの男性が、今回私たちを案内してくれる吉井聖さんだ。普段は実店舗で販売員をしながら、バーチャルマーケットでは毎日のようにバーチャル販売員を務めた。吉井さんの手招きに従って入店すると、実店舗で売られているアイテムを模した何種類ものアバターアイテムが飾られ、服の上には「試着可」の文字が。メンバーは試着してみようとするものの、慣れない操作でアバターが壁に激突したり、突如後ろ向きに走り出したりと挙動不審で、緊張気味だった彼女たちも思わず笑い声が上がった。バーチャル店舗内のアイテムは購入可能だ。全てのアバターアイテムは実店舗の商品をモデルに作られている。よって、アバターアイテムを試着して、モデルとなったリアルの洋服を買うことも可能だし、アバターアイテムそのものを購入することもできる。バーチャル店舗内のサイネージをクリックすると、ビームスのオンラインショップページに飛ぶことができる。アバターアイテムの現在の相場は一着1000円あたりだそう。エレベーターで2階に上がると、雰囲気がガラッと変わり、ホームセンター「カインズ」とコラボしたブースが登場。模様替えゲームをクリアすると、「バーチャル犬マスク」が貰えるそうだ。メンバーが特に長い時間楽しんだのは、意外にもバーを模したブース。吹きこぼれ続けているシャンパンを手に持つことができ、友達にシャンパンをかけあって盛り上がっていた。メンバー曰く「乗り物に乗るVRしか体験したことがなかったから、シャンパンを持ってわいわい遊ぶなんて新鮮だった」とのこと。次第に吉井さんとも打ち解け、最後には一緒にシャンパンを掛け合うほどだった。退店は正面玄関ではなく屋上から。吉井さん曰く「スタッフはここから飛び降りてお客様をお見送りすることが多かったんです」とのこと。
ただただ楽しく新しい体験に聞こえるが、そこにはビームスの綿密な戦略が張り巡らされていた。「服を押しても、お客様は振り向かない。だからまずは、コミュニケーションを通じてお客様とビームスの関係値を作る。関係づくりを通して、ビームスというブランドの世界観を知ってもらう。それが、うちの商品を買おうという気持ちに繋がると思うんです。」と木村さんは教えてくれた。バーチャル店舗の企画運営を考える際は「いかにみんなで共有できる体験を作るか?どんな関係値を作れる体験か?」を意識しているという。だからこそ、ファッションには関係ないシャンパンや、ゲームエリアが設置されているのだ。また、バーチャル店舗内に配置される40人の店員は、コミュニケーション能力と英語力を基準に選抜されている。それらが功を奏してか、バーチャル店舗内のスタッフの「ファン」になったお客様が、スタッフにリアルで会いに実店舗へ遊びにきてくれたこともあったそうだ。吉井さんは「バーチャル空間だから、ラフに会話しやすい。それに、売らなきゃ・買わなきゃという意識がないので、ずっと遊んでいってくださるお客様が多い」と話してくれた。
最後は、ずっと別室にいた吉井さんが、メンバーのいる部屋へ登場。メタバースでの会話に対するハードルの低さは大きかったようで、いざリアルで顔を合わせると「おお〜」というなんとも言えないどよめきが上がり、アバターで繰り返した動作であるお手振りをする場面も。冗談半分で「バーチャル店舗で接客を始めたら、目が悪くなるんじゃなくて、口が悪くなりました」とはにかみながら、そんな部分を面白がってファンができる側面もあるのだと語った。
木村さんは「どれだけ楽しむかが重要。自分たちが楽しまないと外に伝わらないから、VRを伝えるために自分たちが一番楽しもうとしている」「みんなもやりたいと思うことに対して、楽しむ気持ちを忘れないでほしい。」とエールを送った。ここまで、レクチャーの内容を綴ってきたが、実は私の中で最も印象的だった瞬間は、最後の集合写真の撮影だった。オフィスらしからず、階段のような段差が一面に広がるコミュニケーションスペースで、整然とお決まりの写真撮影の配置につくわけでもなく、あちこちに立ったり座ったり、満面の笑みで自由気ままなポーズをとっている社員さんを見た時、ビームスという会社が「楽しい」という感情を大切にする人が集ったチームだと肌で感じた。そんな写真撮影の様子や、レクチャーを通して木村さんがメタバースに感じるワクワク感を受け止めたメンバーたちは、「あの会社の人たち、楽しそうだったよね」と嬉しそうに帰路についていた。(内藤里沙/FFiメンター慶應義塾大学3年)
参加メンバーの感想
かつては、小さいセレクトショップから始まったBEAMSは今では日本を超え、世界に店舗を展開しています。今回私たちが体験したのは、そんなBEAMSの店舗をバーチャルで巡り、まるで本当にお店にいるかのような気分を味わえるVR体験です。初めてのVRでどのような感覚が分からないでいましたが、そのまんまでした。ありえない話でも、本当にバーチャルの世界に入ったような気持ちになるんです。中では、BEAMSが普段売っているような服をデジタル形式で見ることができ、自分のアバターに着せることも出来ました。また、私たちが入った時は人が制限されていましたが、いつもは世界各国からVRをつけた参加者がこのBEAMSのバーチャル店舗に訪れるそうです。ここでは定員とお客様が実際に店舗で会うよりもラフに話せるそうです。実際にいつもバーチャル店舗で働いている定員の方は「顔を合わせていないから、緊張することが少ない。そういう面でも自然体で対応出来る。」と言っていました。ここ、BEAMSのバーチャル世界では、ただ単にBEAMSの世界観を味わうことだけでなく、この空間を通して世界の人々と関わることが出来ます。一緒に話をして友達を作ることだってできるのです。他にも、バーチャルの店舗で話して仲良くなった定員さんに会うために、実際にBEAMSの店舗に行ってみたという話ということも、、。このBEAMSが作り出したバーチャル空間は、BEAMSの魅力を発信するだけでなく様々な国や地域の人々と話すことができる憩いの場にもなっているんだと思いました。私は、ひとつのブランドが様々な人をバーチャルで繋いでいるということに感銘を受けました。(kano中学2年)
私はBEAMSのプレ・インターンシップに参加し、BEAMS Creativeの木村淳さんにお話を伺いました。 私はBEAMSで洋服を買ったことはないのですが、父が服を買うのについて行ったことがあるので名前は知っていました。 私の父や母に聞くと、父母がBEAMSを知ったのは10代の頃で、その頃はカジュアルといえばアメリカンカジュアルだったのが、カジュアルな普段着なのに大人っぽくておしゃれで、今思うと日本人の普段着のセンスをアップさせたのはBEAMSのお陰なんじゃないかと思うよ。と言っていました。 BEAMSは現在、異業種とのコラボをめざしたセレクトショップで、JAXAやNetflixなど他の企業が思いつかないようなところとコラボしています。 長く人気な理由は、どんどん新しいことをしているからなのではないかと思いました。 そして、現在はファッションとメタバースというミライのカタチを提案しています。 木村さんは、メタバースを担当しBEAMSのバーチャルショップ内でセレクトショップを作っています。 バーチャルマーケットは世界中からいつどこでも入れるメタバース空間です。 アバター選びや服選びは自己表現だそうです。その考えは素敵だなと思いました。 メタバースというと、ゲームの世界のことのようで、服を売る、買うということとどう繋がるのかわかりませんでしたが、 私たち消費者にとってメタバースで洋服を買う利点は、 自分のサイズ通りのアバターが、気になる服を着てサイズや色合いシルエットなど、似合っているかどうか確認でき、 コミュニケーションが苦手な人ども、お店の人にどんどん質問が出来るということです。 今あるネットショップの機能にこの機能が加わるなら、確かにとても便利だと思いました。 木村さんは、BEAMSのバーチャルショップ内でセレクトショップを作っています。 実際にBEAMSのメタバース空間に入らせて頂き、アバターが一瞬で服を着ることができて、面白かったし、動かしてる感覚があってとてもリアルでした。 私は、メタバースなどのPCの物が大好きなので自分も将来こんな職につけたらなと思います。(渋沢くらら/中学3年)