『好きな場所で得意を活かす』中高生のキャリアデザインゼミ

オーガニックコスメカンパニー「COLOURS」で学ぶコスメのミライ

メンバー発のプレ・インターンシップがまたまた叶いました!東京発オーガニックコスメメーカーの現在と未来予想図は!?

日付:2022.10.27

今回のプレ・インターンシップは、FFiメンバーChaco発案!コスメ大好き、でも肌が強くないということから、「オーガニックコスメ」ってどうなの?どんなこだわりがあって何がほかとは違うの?と深掘りしたくなったのがきっかけです。今回訪れたのは、表参道にラボを構える東京発オーガニックコスメメーカーの「COLOURS」。精油について詳しく教えていただいたり、オリジナルのルームスプレーを作ったり、さらに代表の「なぜ企業をしようと思ったのか」「どんな中高生時代を送っていたのか」というお話まで、終始笑顔が絶えず実りのある時間となりました。

メンバーレポート:

オーガニックコスメの魅力

今回は、コスメブランドCOLORSさんにオーガニックコスメの魅力について、うかがいました。 オーガニックコスメは、一般的なコスメとは違い、ナチュラルに作ってあるので作るのが大変でコストもかかります。しかし、COLORSさんでは、「たくさんの人にオーガニックコスメの魅力を知って欲しい」という重いから、できるだけ利益の部分を減らし、安値で提供することに力を入れています。また、オーガニックコスメというのは、他の洋服ブランドとは違い、自分のお母さん、またおばあちゃんまで何世代にも繋いで使われていくものなので、大切に作っていこうという考えがCOLORSさんにはあります。 そもそも、オーガニックコスメには、私たち消費者へのスキンケアの効果以外にも環境に優しいという良い点があるそうです。 このような、たくさんの魅力があるオーガニックコスメという商品に目をつけて、沢山の人に商品を知って欲しいと、利益を減らしてまで売っているのがすごいと思いました。 また、実際にルームミストを作ることが出来て、調合の体験が楽しく、こういう職業もいいなと思いました。!(Kano/中学2年)

オーガニックコスメカンパニー「colors 」

今回私はオーガニックコスメカンパニー「colors 」に行ってきました。内容はシャンプーなどを要らなくなったフルーツの皮などから搾り出る油脂などを使ってSDGsに貢献して行きながら肌に優しい成分を使ってしっかりと効果の出る商品を作り出す。などでした。 そのフルーツなどから出る油脂には人の感情を動かす働きがあるそうです。植物によって匂いは違いますが、リラックスさせる効果や元気にしてくれる効果、勉強時などに使うものや寝る前に使うものなどがあるそうです。人によっていい匂いと思うものも違うそうです。年齢が変わっていくうちに好きな匂いが変化することもあるそうです。 今回、自分で好きな匂いを混ぜて自分好みの匂いのルームミストを作らせてもらいました。普段理科が苦手な私でも楽しくプレ・インターンシップを楽しめました。(Anne/中学3年)

匂い作り

今回のプレインターンシップは香水を作りました! 最初に会社の説明を受け、香水を作り、少し軽食も食べたりしながら、とても楽しく学べました! 私が今回のプレインターンシップで印象に残ったことは、香水を作るときに、何種類もの匂いを混ぜ、自分の好みの匂いに近づけているときに、臭くならなかったことです! 今まではいろんな匂いを混ぜると臭くなると言う偏見を持っていましたが、実際はそんなことはなく、合う匂いを組み合わせると、さらにいい匂いになり、新たな発見だったなと思います!(秋山寿/中学3年)

the public organic☘️💚

精油についての説明や、オリジナルのルームスプレーを作りました♡(新関桜子/高校2年)

「好きなこと」を「将来の夢」に

今回のプレインターンシップは、コスメが大好きな高校生メンバーのリクエストから実現。「THE PUBLIC ORGANIC」などのブランドを展開する東京発のオーガニックコスメメーカー「COLOURS」を訪れ、創業の経緯や精油について学び、ルームスプレー作りを体験した。

メンバーが訪れたのは、骨董通りに構える「COLOURS」の専門ラボ。エレベーターのドアが開くと同時に精油の香りがふわっと漂い、「いい匂い〜!」と歓声が上がった。ラボに入ると、50種類以上もの精油がずらりと並ぶ圧巻の光景。全員白衣を着用し、まずは「COLOURS」代表の橋本宗樹さんから創業の経緯を伺った。

ヒップホップとオーガニックコスメに通ずる反骨精神?

中高時代から紐解く「COLOURS」創業の経緯

「好きなことを大切にし、追ってきた節がある」という橋本さんのお話は、ヒップホップ・ダンスに明け暮れた中高時代まで遡る。当時、男性に求められる資質として流行した「3高(高学歴・高収入・高身長)」に対して反発心を抱いていた橋本さんは、社会への不満を謳うヒップホップの反骨精神に共感した。どんどんクラブカルチャーへの興味を深めていった結果、大学時代はファッションショーの制作や展示会のディレクターといったイベントのアルバイトに没頭。アルバイトを通して「人から求められることが楽しい」と感じ、いずれ起業しようと大学生の時点で心に決めたそうだ。

卒業後間も無くして「COLOURS」を創業。当初はアンディウォーホールのファクトリーを骨董通りに再現したり、人気スポーツブランドのファッションショーのプロデュースをするなど、イベント制作を中心に取り組み、充実した日々を送っていた。その一方で「こだわること、モノを作ることが好き」な橋本さんは、「イベント制作は”花火”のようにパッと華やかに咲くけれど、すぐに消えてしまう」ことに一抹の寂しさを覚え、モノに残る何かを作りたいと思い始めた。

そんな矢先に「マツモトキヨシ」からプライベートブランドの開発依頼を受けたことが転機となった。「とにかく中身が最高に素晴らしい商品」を作り上げようと「こだわりまくった」末に、高品質中価格帯のシャンプー「LUNG TA」を発売。こだわって作ったものが評価されたことにやりがいを感じ、今後は化粧品を作ろうと決意を固めたそうだ。

化粧品ブランドの構想を練る中で、中高時代の反骨精神が蘇り「世の中に一石を投じてやろう」という気持ちが芽生えた。そんな中「人生を賭けるにふさわしい目標」と出会う。1990年代からフェアトレードや動物実験の禁止に取り組む「THE BODY SHOP」の創業者アニータ・ロディックが謳う理念「企業には世界を良くする力がある」だ。サステナビリティが重視される近年では馴染みのある理念だからか、熱弁する橋本さんを見てやや不思議そうな顔をするメンバーに、「この時代は企業はお金を稼ぐことが全てとされていたんだよ」と橋本さんが補足説明。事業を通して社会を良くするべく、化粧品業界の中でもオーガニックコスメに取り組むことを決意した。「マイノリティであっても正しいと思うことに対して社会に強いメッセージを発信する姿勢」はヒップホップにもオーガニックコスメにも通ずる反骨精神なのだ。オーガニックの定義は「3年以上化学肥料や合成農薬を使っていない土地で栽培された植物を使ったコスメ」だ。オーガニックコスメの開発・普及に取り組むことで、①有機農場の拡大による環境保護 ②精油の効果に伴う心と身体のケア③オーガニック原料の国産化に伴う地方創生という3つの要素から社会に好循環を生み出せると考えたそうだ。こうして、橋本さんはオーガニックコスメで世の中に一石を投じ、事業を通じて世界を良くすることを目指した。

「オーガニックコスメの日常化」を目標に商品開発を始めるものの、4つの壁が立ちはだかった。①自然由来原料が故に品質が不安定なこと②使える成分の限定に伴い使用感が悪いこと③原料が高価なため商品が高くなること④オーガニックコスメがマニアックだった故に全国に店舗があるコンビニやドラッグストアに置いてもらいにくいことだ。「諦めの悪さ」と「こだわり屋」を生かしてこれらの壁を乗り越え、2012年の10月にシャンプーをはじめとするオーガニックコスメブランド「ARGELAN」をローンチした。

ここまで漕ぎ着けることができたのは「志を持ち、諦めなかったから」であると力強く語る橋本さんは、「今日のテーマである”好きなことを仕事にする”も、同じことが言えると思うから、中高生のみんなも諦めずにチャレンジし続けてほしい」とエールを送った。

エビデンスのあるオーガニックコスメを作りたい!

研究開発部長を化粧品業界へ導いたアイテムとは…?

続いて、研究開発部長の岡野利彦さんがキャリアや仕事内容を紹介した。「化粧品開発は天職」と語る岡野さんの運命を変えたアイテムは「白いボールペン」だと語ってくれた。大学2年生のときに偶然白いボールペンの開発秘話を読み、白いボールペンは修正液にさまざまな改良を重ねた産物であると知ったことがきっかけだそう。「自分も化学を使って身近なヒトの生活を少しでも豊かにするモノづくりをしたい」と思い、大学院で有機化学を学んだのち、化粧品業界に足を踏み入れたという。外資系の消費財メーカーでスキンケアの開発に15年以上携わり、4年前に「COLOURS」へ転職。そんな岡野さんは「エビデンスコスメとオーガニックコスメを組み合わせた化粧品の開発」に挑戦したいと話す。そのために現在は、仕事の傍ら、社会人博士として精油が心身に与える効果の研究を行っている。現に、精油の香りに関する科学的な解明は世界中で進んでいる。例えば、集中力がアップすると言われているローズマリーの香りを嗅ぐと脳内の血液量が増加し、リラックス効果で有名なラベンダーの香りを嗅ぐと血液量が減少するという研究結果が発表されている。「COLOURS」では精油をブレンドして化粧品に香りづけをし、心身へのケアを狙っているそうだ。

植物療法士に教わる精油の魅力

研究開発部長を化粧品業界へ導いたアイテムとは…?

今回のプレインターンシップの目玉は「心と身体を整える 100%精油オリジナル ルームスプレーづくり」だ。植物療法士の資格を持つPRの中村珠梨さんからレクチャーを受けた。ルームスプレー作りに使用する3種類のベース精油は「THE PUBLIC ORGANIC」で展開されている香りと同じになっており、幸せ溢れる「SUPER POSITIVE」、気持ち弾む「SUPER BOUNCY」、ストレスケアに適した「SUPER SHINY」に分かれている。またベース精油に加える7種類の精油を嗅ぎ比べ、効果やポイントを教えてもらった。例えば、グレープフルーツは人に幸福感を与える香りと言われており、フランキンセンスは呼吸をスローダウンさせるそう。7種類の精油は「元気になりたい時用」(グレープフルーツ・イランイラン・ローズマリー・ユズ)と「リラックスしたい時用」(ベルガモット・フランキンセンス・ラベンダー)で分類されており、メンバーそれぞれのなりたい気分によって調合された。白衣を着てスポイトを握りしめたメンバーは真剣そのもの。時には岡野研究開発部長や橋本さんのアドバイスをもらいながら、思い思いのルームスプレーを作り上げていった。

1kg300万円のローズを使用した精油と、100円ショップの精油の嗅ぎ比べクイズもあった。メンバー内でも意見が割れ、「勘で答えるしかない」とぼやき声も聞こえてくるほど難しい。「ブルガリアでローズの買い付けに行くときは、運転手さんが拳銃を持っているんだよ」という橋本さんの言葉に、メンバーも目がまん丸。香り成分は開花のタイミングで放出されるため、バラが開花する朝の5時に農園を訪れ、咲いた瞬間に花びらを摘むのだと教えてくれた。

プレインターンシップの最後は、こだわりのナチュラルサンドイッチとみかんジュースをいただきながら、会話を楽しむ「コミュニケーションタイム」だ。頂いたみかんジュースは、国産原料にこだわった「ALGERAN」の精油調達先である伊藤農園のものだそう。伊藤農園は美味しいみかんジュースを作るべく、皮を潰さずに優しく果汁を搾るお椀型の機械を使用している。つまり、ジュース製造時に生じるみかんの皮には精油が残っているため、それを「COLOURS」が買い取り、オーガニックコスメの国産化を実現しているのだ。

代表の橋本さんに「今日は何で参加してくれたの?」と聞かれたメンバーは「自分が好きなコスメのことを知りたくて来ました。」と答えた。「えらいなあ、僕がみんなくらいの年頃の時は何も考えてなかったなあ」と笑う橋本さんを見て緊張がほぐれたのか、「将来の夢はなんですかってよく聞かれるじゃないですか。でもまだ分からない。そんなに聞かないでって思っちゃう。」とこぼす場面も。橋本さんが「分からないよねえ!」と肯定すると、メンバーが我が意を得たりと嬉しげに笑っていた。将来の夢は分からないながらも、別れ際に植物療法士の中村さんと連絡先を交換するメンバーの姿を見て、好きなことが夢になる日も遠くないのかもしれないと感じた。(FFi大学生メンター内藤里沙/大学3年)