「EQUALAND-TRUST AND INTIMATE-」と「AKIKOAOKI」とのリメイクコラボレーションプロジェクトのポップアップを見学させていただきました!
日付:2022.4.30
近年SDGs的視点からも、ファッション業界内外で注目されている余剰問題。今回、洋服在庫に新たな命を吹き込むべく、「EQUALAND-TRUST AND INTIMATE-」と「AKIKOAOKI」とのリメイクコラボレーションプロジェクト<The Upcycled Collection by Akiko Aoki,bringing new life to surplus stock.> がローンチされました!そのPOP UPイベントをメンバーで見学、さらにAKIKOAOKIデザイナーの青木氏に直接インタビューする貴重な機会もいただきました!
メンバーレポート:

ヘルシーなものづくりと消費
「EQUALAND-TRUST AND INTIMATE-」と「AKIKOAOKI」がコラボしたイベント「The Upcycled Collection by Akiko Aoki, bringing new life to surplus stock.」がアースデイの 4 月 22 日よりスタートした。EQUALAND は「すべてから信用されるファッション」を基盤に、環境に負荷をかけない天然素材を使用した洋服を販売している。今回のコラボレーションでは、EQUALAND で余ってしまった在庫に AKIKOAOKI らしさを取り入れてアップサイクルさせることで新たな個性が見出されたリメイクコレクションが発表された。
私たちはミヤシタパーク内の EQUALAND SHIBUYA にて実際にリメイクされた商品を拝見し、コンセプトを知るだけでなく、リメイクを手掛けたデザイナーの青木明子さんに質問することができた。普段の AKIKOAOKI の洋服はデザイン性の強いものが多く、コレクション発表時にはコンセプトムービーを制作するなど世界観がしっかり作り上げられている。一方、青木さんにとって初の試みとなったリメイクでは、原型を残したままアクセントにAKIKOAOKIらしさを出すことにこだわったそうだ。実際、スカートのリメイクだと全てを裏返し、顕になった縫い目に沿って色を足したり、リボンが付けられたりと、原型はそのままにアクセントが足された洋服に仕上がっていた。他の商品も、EQUALAND の天然素材で作られた、肌触りが良く優しい雰囲気の洋服にフェミニンなイメージが足され、より「かわいい!」と言いたくなる洋服にアレンジされていた。
私が特に聞いてみたかったのは、ファッション業界におけるサステナビリティについてである。デザイナーさんの思いを直接聞くことができたのは貴重な機会だった。デザイナーさん視点のサステナビリティについて、「自分が服を作ることで困る人がいない状態をつくることはできないが、自分が生み出した服や資源に責任を持つことはできる」と語っていたのが心に残っている。今回のコラボレーションで大きい活動でなくても、周りがハッピーになるようなアップサイクルは可能ということをより実感したそうで、今後もリメイクなどの活動も前向きに考えていた。近年、環境や生産過程に配慮したブランドが増加傾向にあると感じている。私自身も活動的なブランドに貢献したいという思いがあるが、学生にとってエシカルコンシャスなブランドは手を出しにくい金額であることが多い。そのようなジレンマを抱える学生でも貢献できる消費の形を聞いてみると、「ずっとその服を愛せるか?」を軸にするというアドバイスを頂いた。青木さん自身が他ブランドの服を購入する際も服を着て気分が最高潮に上がるか、高揚感があるか、を根底に選ぶそうだ。
お話を伺ってから、環境に配慮しているブランドに絞らなくても、服の選び方や着たい服への向き合い方を変えるだけでヘルシーな消費により貢献できるのではと気付けた。アパレル産業としていいこととファッションは必ずしもイコールにはならないと話していた青木さん。既にたくさんの洋服が存在する中で、ムダをゼロにしながら新たに服を生み出すことは不可能に近い。しかし、消費する身としてはクローゼットのムダをなくすことはできると感じた。自分が長く大切にできると感じた洋服選びをすることで、全力でファッションを楽しみながら産業として良いあり方にも近づくのではないかと考える。(Emma/高校1年)

将来の夢
私は、もう中学3年生なのにも関わらずまだ将来の夢が明確に決まっているわけではありません。だからこそ、FFIに参加して、少しでも自分が将来どのようになりたいかを考えることができればと思っています。今回は初めての参加でしたが、学ぶことが多く、これからがとても楽しみになりました。 私はあきこさんにいつ、なぜデザイナーになろうと思ったかを聞いてみました。彼女は幼い頃からデザイナーになりたいと思い、夢を叶えたそうです。学生の頃制服に縛られたり、ルールに縛られたりすることが嫌で、そのことが自分でデザインするきっかけになっているのではとのことでした。自分が過去に経験してきたことや、感じたことなどを活かし、夢を実現させている姿を見て凄いなと思いました。私も色々な体験を活かし、将来の夢をみつけたいです。(菜央/中学3年)

「辻褄が合う」取り組み、アップサイクル
「今のアパレル業界の中で仕事をしている中でぶつかる、たくさんの矛盾に対して。 そもそも、ファッションは矛盾しています。たくさんの矛盾を抱きながら、新しい希望のある人間像をつくりだす作業。 わたしは サスティナブルという言葉を安易に振りかざすのはすきではありませんでした」2020/07/22 青木さんTwitterより(@kokiakioa) 「サスティナブルという言葉を安易に振りかざすのはすきではありません」と呟いていたデザイナーさんが、アップサイクルコレクションに踏み切った、その背景を知りたい。そんな問いが、今回の体験における、個人的なテーマでした。
なぜアップサイクルコレクションに踏み切ったのか、ドキドキしながら質問してみました。 今回、対面でインタビューをして強く印象に残ったのは、青木さんがとてつもなくも丁寧に言葉を選び、紡ぐということでした。ですので、今回のレポートは、なるべく青木さんが仰った言葉をそのまま使っていきたいと思います。
そもそも、サステナビリティというものは、多くのお金も時間も労力がかかる、大変な取り組みだそうです。だからこそ、AKIKOAOKIさん規模では難しい。サステナビリティを行うために「本当に1ミリも悪がなく、その試みによって困る人がいない」環境を作ることは、「うちの規模では無理」なのだそうです。その上、冒頭のツイートにもあったように、ファッションの抱える矛盾もあります。 「普段何十着も服を作っているし、こんなに世の中に服があるのに、私は自分でデザインしている」 だからこそ、「大きなことを言うと、自分の中で辻褄が合わなくなる。」と感じているそうです。けれど「サステナブルという広い意味ではないが、アップサイクル」なら出来る、と青木さんは考えています。そのきっかけは、数年前にアトリエにあった余った端切れを使って商品を作った、アップサイクルの経験です。ハギレのリメイクを通して、「自分にとっても無理がなく、生地にとっても無理がなく、縫製工場さんにとっても無理がない、買ってくれる人が喜ぶ」と感じ、「サステナブルという広い意味ではないが、アップサイクル」なら出来る、と思ったそうです。だからこそ、今回EQUALANDさんからアップサイクルのお話を貰った際に、「昔やったこととリンクする」「アップサイクルなら、偽善的な気持ちがなくできる」と感じ、引き受けたと仰っていました。サステナビリティのような大きなことは今の自分に言えないけれど、「自分が作って余ったものに対して責任を取るってことは自然にできる」「余ったものを使うということは自然にできる」。これが、今回の取り組みの背景だそうです。
自分の中で辻褄が合うか、自分にとっても周囲にとっての無理がないか、自然に出来るか。私自身もこの3つを、サステナビリティを考える時の物差しにしたいと思いました。サステナビリティだけでなく、人生についても言えるかもしれません。
ファッションにまつわる体験だったが、ファッションを通してなんだか帰りの電車も哲学的なことを考えてしまう、印象深い体験でした。(FFiメンターRisa Naito/大学3年)