WWDJAPAN村上編集長に聞く、コレクションの見方と編集のお仕事

東京コレクションを見た後にその見方をレクチャーしてもらう贅沢なプログラムが実現!編集のお仕事についても聞きました。

日付:2025.4.25

東京ファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO2025」の見学の興奮が覚めやらぬなか行われたWWDJAPANでのプログラムで、コレクションの見方と編集者のお仕事をレクチャーしていただきました。FFi大学生メンターがレポートします。

4月25日、WWDJAPANの村上編集長と伊藤記者によるFFi中高生メンバーに向けてのプレインターンシップが行われた。実際にファッション業界の第一線で活躍するお二人のお話を直接聞けるということで、メンバーもメンターも緊張しながらもワクワクした様子だった。 
テーマは「コレクションの見方と編集のお仕事」。前半は村上編集長、後半は伊藤記者の順番でお話ししてくださった。 

村上編集長のトークテーマは「ファッションショーの見方とデザイナーのお仕事」。
村上編集長はまず私たちに「ファッションショーって何なんだろう」という問いを投げかけた。ファッションショーとはただ単に、かわいい!かっこいい!すごい!だけではない、「デザイナーやブランドからの問いかけ」なのだとおっしゃった。ファッションショーが形になるまでの過程には「今はどんな時代?→(そんな時代を生きる人が)洋服に求めるものは?→その望みをブランドらしく叶えるには?」というプロセスがあり、このプロセスを噛み砕いて理解していくことで、ショーの見方が変わってくるということを教えてくださった。 
このプロセスを理解する例として、 Louis Vuitton Men’s Spring-Summer 2019のコレクションが出された。実際にショーの動画を見ながら、メンバーそれぞれが先ほどのプロセスとショーを照らし合わせ、気づいた点を積極的に発言した。このショーには、初めての黒人男性デザイナーの起用、一直線のレインボーのランウェイ、身につけられるバッグジャケットなどなど様々な演出が駆使されていた。これらを2019年の「旧来の常識が崩れ始めた時代」と結びつけ、多様性の時代をLouis Vuitton らしく表現したショーだとメンバーそれぞれが噛み砕いて理解することができた。 

続いて伊藤記者のトークテーマは「東コレ、どう見る?」。先日行われたRakuten Fashion Week TOKYO 2025AWを実際に取材した伊藤記者が、Rakuten Fashion Week TOKYOの見方や特徴を教えてくださった。 
Rakuten Fashion Week TOKYOの特徴をいくつか挙げられた中で私が興味を持ったのは「デザイナー自身の実体験を表現するブランドが多い」ということだ。 
例として挙げられたのは、「KAMIYA」のショー。アメリカでUber Eatsを注文した際の、配達員の自由なファッションスタイルにインスピレーションを受けて作られたショーであったという。私も実際に「KAMIYA」のショーを見させてもらったのだが、「何でわざわざサーキット場が舞台なんだろう」、「なぜ最後にモデルたちが自転車に乗って登場するのだろう」と疑問に思っていたことが多かった。しかし、ショーの背景を知ることでそれらの疑問がなくなり、より「KAMIYA」のショーが面白い!と思うことができた。このように、ショーをより深く楽しむために、デザイナーの伝えたいことやショーの背景を取材して伝えることが記者の重要な仕事の一つなのだと学んだ。 
最後に行われた質疑応答の時間では、ショーの見方に関する質問だけでなく、メンバーとメンターそれぞれが抱えている進路や将来についての質問に村上編集長と伊藤記者が答えてくださった。メンバーもメンターも質問と相談が止まらない充実した時間となった。 

今回のプレインターンシップも、実際にコレクションを見たメンバーとメンターにとっても、見ていないメンバーとメンターにとってもファッションショーとは何なのかをプロの視点から教えていただき、さらに進路についても思考する貴重な経験となった。(FFi大学生メンター/明治学院大学2年松浦ゆら) 

メンバー・メンターの感想

普段ファッションショーを見る時は服やモデルに注目しがちでそのブランドの背景や伝えたいことはあまり考えずにいることが多く意義を感じられなかったのですが今回のお話をきっかけにどこに注目すべきなのか(例えば過去のショーとの比較、デザイナーの生い立ちなど)を知ることができたので次からに活かせそうだと思いました。 加えて、ファッション誌の一流とも言えるWWDで勤務している方の生い立ちを知ることができて、これからの未来を考えていくのにとても役に立つ情報を教えてくださり有意義な時間を過ごすことができました。(hana/高校2年)

ファッションショーは他人事、遠い存在だと思っていたが、今の社会情勢などをふまえてみると強いメッセージ性を感じ意外と身近なものかも…!と思えた。 ファッション雑誌だとファッションが好きな消費者が読むイメージがあったが、ショーや洋服を作る側の人も雑誌を買い、雑誌に書いてあったことを参考にすることもあるという事実に衝撃を受けた。雑誌上でプロに対して意見を書くライターという仕事にさらに強い憧れを抱いた。 漠然と留学に行きメディア学を学びたいという目標からさらに具体的にどんな媒体の何を学びたいか考える必要性に気づいた。国によって大学の在り方が変わってくるから留学先に考えるひとつの判断材料になると思った。(想/高校3年)

今年初めて「東コレ」へ参加させていただき1週間の間で数多くのブランドのショーを見させていただきました。消費者視点での「なんかすごい」「かっこいい」などの感想は持つことができましたが、「ブランドが伝える社会への提言」を感じる余裕がありませんでした。次回以降のショーでは「プロの視点」も踏まえてショーを見ることができるとさらにショーへの楽しみ方が増えるなと感じました。(谷暸太郎/高校3年)

元々広告系やファッション系に興味があり、今回参加しましたが、私たち読者にひとつの雑誌や記事となって届くまでにインタビューをしたり、それを文にし、読者にもブランド側にも刺さるものであることが大切だと感じました。東コレの実際の様子を映像で見せていただいた際、映像越しでも魅力が伝わり、それぞれのブランドのもつテーマや雰囲気を少し感じることができました。私はブランドはそれぞれのファッションショーにはっきりとしたテーマを持ってそれのテーマを視聴者に詳しく伝える場であると考えていましたが、実際には東コレの映像を見て自分が感じたイメージのように視聴者にイメージを持たせ、テーマや伝えたいことを考えさせるものであると感じました。それぞれのブランドの良さや魅力は異なるけど、モデル、場所、使用する道具など全てをブランドがプロデュースし、そのブランドの良さがでていてそのような場面に少しでも立ち合うことのできるようになりたいと思いました。(凛/高校2年)

素人の立場からファッションショーを見ると、「なんだかすごかったけど、よくわからなかった」と感じることもあると思います。しかし今回のプレ・インターンシップを通して、モデルや服の色・素材、会場の演出などに込められた「ブランドからのメッセージ」を読み解くことで、ショー全体をもっと深く、多面的な視点から楽しめることを学びました。
また、一般の読者から、バイヤー、ブランド関係者まで、幅広い層に向けた記事を執筆する記者の方は、ブランドの成り立ちやディレクター本人に対する深い理解が不可欠だと感じました。(FFi大学生メンター/上智大学3年 岸 珠希)

LOUIS VUITTONはパリコレに出る際、一回のファッションショーに約5億円ほどかかると聞き衝撃を受けました。15分ほどのショーに膨大のお金と時間がかかっているのだなと感じました。 今までショーを拝見させて頂いた時は、この服・あのモデルさん可愛いな、この色の組み合わせもありだなとファッションを重視していましたが、ショーには現代の不安・不穏などを訴えたテーマや生成AIには頼りすぎているという事を訴えるテーマなど、テーマが決まっていて、それに沿って様々なファッションと舞台セットなどを構成し、お客様に伝えているという事を聞き、次ショーを見れる機会があったら周辺のセットなどにも気を使って見れたらいいなと感じました。
また、私は来年から就活を始めなければならない年齢ですが、留学も行きたかったり、学びたい事もあり、時間が足りないと思い最近焦りを感じていたのですが、今回お話を伺って、村上編集長は転職をしてキャリアアップし現在は編集長として働かれていたり、伊藤さんも新卒3年目で30歳です!と堂々とご自身のキャリアに対してお話しされていたのを見て、私も自分のペースでやりたいことを一つずつこなしていこうと感じることができた時間でした。(FFi大学生メンター/成城大学2年 新関桜子)

今回のプレインターンでは、ファッションショーの見方ファッションの楽しみ方を学びました。 今回見させて頂いたヴァージルのショーは以前にも見たことがありました。初めてのショーで自分が伝えたいことを最大限に伝える、周りの評価ではなく自分の信念をファッションを通じて伝える、歴史に深く刻まれたファッションショーだと思います。 村上さんがおっしゃっていたように着たいものを着たいように着る、楽しむことが大切まさにそうだと思いました。服作りを勉強する身として、ファッションの本日をまた学ぶ機会になりました。(FFi大学生メンター/文化服装学院2年 リュウ)

今回のプレインターンシップで、コレクションの見方をプロの編集の方と記者の方から聞けたことが本当に嬉しかったです。「ファッションショーとは何なのか」という疑問をずっと持っていた自分にとって、「デザイナーやブランドからの問いかけ」というアンサーを教えていただいたことで、「あの時の演出にはこんな意図ががあったのだな」と噛み砕いて理解することができました。これからのコレクションの見方が面白くなるだろうなと思いました!また、村上編集長に直接留学のことや進路のことなどを質問し、的確でなるほど!と思えるアドバイスをいただけたことも大変貴重で嬉しかったです!(FFi大学生メンター/明治学院大学2年 松浦ゆら)

WWD JAPANの編集長・村上さんと伊藤さんのお話を通して、ファッションショーが時代の変化やその年ごとの個性を映し出す特別な舞台であることに深く感動しました。テーマは「今の時代をどう捉えるか」から始まり、ブランドの魅力をどう伝えるかへとつながっていく。そのプロセスにデザイナーの想いや情熱が込められていることを知り、今後ショーを見る視点が大きく変わりそうです。特に「自分が好きと思えることを見つけ、それを人に語れるほど深く掘り下げることが大切」という言葉が強く心に刺さり、私も自分の“好き”に対してもっと真剣に向き合おうと決意しました。(FFi大学生メンター/明治学院大学2年 るな)

村上編集長の言葉で特に印象に残ったのは、「ファッションとは、いろいろな欲を叶えてくれるもの」という一言だった。自分は“ファッション”と“欲”を結びつけると、物欲や嫉妬心といったイメージを思い浮かべていた。しかし編集長は、憧れのブランドでカッコつけたり、気分が沈む日は暗い服を選んだりと、感情に寄り添う手段にもなると語っていた。 ファッションやアートは、誰もが自由に、好きなように感じていいものだと気づかされた。以前は、作り手の意図と違う受け取り方は失礼だと思っていたが、自分の感じ方も大切にしてよいと知ってから、芸術への関心が深まった。これからはFFiの活動を通して、感性を広げていきたい。(FFi大学生メンター/成城大学3年 和可)

動画撮影・編集:高校3年谷暸太郎

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