今回の2025 春夏ファッションウィークでも、多くのショーを見学。大人の本気を間近で見せてもらいました!
日付:2024.9.2~9.7
ファッションの祭典、東京ファッションウィークに今シーズンもFFiメンバー&メンターが参加させていただきました!バックステージボランティア体験も行い、TOKYO FASHIONの今を楽しみ尽くした大充実の1週間となりましたが、ここでは見学したランウェイショーをすべておさらい! FFi大学生メンターで、ファッション系インフルエンサーとしても注目されている矢口裕久@hiro_runwayがレポートします。
9月2日
HOUSE OF MUAMUA
「楽天ファッションウィーク初日に登場したのがイタリアのファッションハウス「HOUSE OF MUAMUA (ハウス・オブ・ムアムア) 」。2016年のローンチ以降、急成長を続けてきた同ブランドが東京の地で新作を発表しました。
テーマは[Happiness is A Summer in Italy ]。イタリアのバカンスシーンに着想を得て、海外のビーチではおなじみのアップテンポのサンバのようなBGMとともに、リラックス感のあるルックの数々を発表しました。
特に観客の心を掴んだのがプレイフルなデザインのバッグ類。ビーチを彷彿とさせる二枚貝モチーフのクラッチバッグから、イタリアで一番人気の某タバコのケースを連想させるハンドバッグまで、奇抜ながらもちゃんと「欲しい!」と思わせてくれるような秀逸なデザインには脱帽です。
また、同ブランドの生産するアイテムはリサイクルウールやアップサイクルの素材を使用している点も魅力的です。ポップなデザインだけでなく、ちゃんと意識するべきことは意識する、イタリアの服作りに対するプライドを感じ取れたコレクションでした。(矢口)
<メンバー&メンターの感想>
流れている音の大きさや曲の感じが良かった。今回のショーはだいぶビーチを感じさせる白やパステルカラーなどの爽やかな色合いで猛暑を忘れさせる涼しさだった。デザイナーの方がこだわりが強く、セッティングに時間を取り1時間程押していた、文化の違いのようなものをここで感じた。見に来ている方々もファッショナブルで、自分もゆくゆくはこうなりたいなと思った。(横浜美術大学1年/佐瀬)
9月3日
WILDFRÄULEIN
アメリカと日本の2カ所の拠点を持ち、絵画・建築・日本文化・アメリカ文化など、多様な文化体験に裏付けられたクリエイションに定評があるループ志村によるブランド、WILDFRÄULEIN(ヴィルドホワイレン)。
会場となった渋谷ヒカリエのホールには、志村デザイナー自ら作曲を手掛けたバンドの演奏と、こちらも自らが描いた絵画が用意されており、訪れた観客はバンドのエネルギッシュな演奏に酔いしれたところでランウェイがスタートします。
今シーズンのコレクションテーマは「Wholly oneself」、直訳で「完全な自分自身」とし、前シーズンで親しい友人との今生の別れを経験して以来、クリエイションに対して抱えてきた葛藤や苦難など、自分自身の内側を表現したコレクションを発表しました。
ダメージ加工やビンテージ加工、左右非対称な洋服のパターンなど、これまでのシーズンと比べても特に複雑かつ繊細なクリエイションにメンバーも心を奪われました。
これまでの自身の辛い経験やハードな体験を今回形にした志村デザイナー、しかしそんな中でも、自身にとって身近なことに対してコレクションを着想する姿勢は変化しておらず、むしろ今回のコレクションでその姿勢を強く感じる、何か決意のようなものを感じました。(矢口)
9月4日
Seivson
台湾人デザイナーのヅゥチン・シンが代表を務めるSeivson(セイヴソン)。確かな実績と名声で確実に世界に歩みを進める同ブランドは、今回「TRACE」というテーマを掲げて最新コレクションを発表しました。
日本語で「痕跡」を意味するこの言葉、これは2017年に日本でコレクションを発表して以降、デザイナー自身が感じてきた現代社会における情報過多や歪んだ現実、また、それによって傷ついてきた過去を示しているとデザイナーは語ります。
このコレクションで印象に残った点としては、なんと言ってもその「歪み」「傷」の洋服としての表現方法の豊かさです。
前半のルックでは肩や胸元、太腿あたりを中心に過度なダメージ加工を施し、そこで生まれる穴を包帯で覆うように何重にも細い布地を重ねることで「傷」を、ルック中盤ではインナーに半透明なトップスや切りっぱなしのシャツをレイヤードすることで立体的な「歪み」を表現しているように感じました。
また、ルック全体を通して激しいダメージ加工を施しているにも関わらず、いやらしさを全く感じさせないSeivsonならではのクリエイションとスタイリングには、メンバーも皆目を輝かせて見入っていました!(矢口)
9月4 日
MARCUS COVINGTON
実力派ブランドの新作コレクションがひっきりなしに発表される楽天ファッションウィーク3日目。市川・マーカス知利が手掛けるMarcus Covington(マーカス・コビントン)がランウェイショーデビューを果たしました。
日本の服飾学校を卒業後、パリにあるオートクチュールのアトリエにて研鑽を積み、帰国後は衣装製作を手がけてきた市川デザイナー。今年4月に同ブランドをローンチし、「粋な目立ちたがり屋」をコンセプトにクリエイションを発表します。
セカンドシーズンとなる今季のテーマは「SMASH!!!!」。自身を育ててくれた祖母の死に対する悲しみをエネルギーに変換し、まるで内なる感情を爆発させるような勢いのあるルックを披露しました。
緊迫感のあるBGMと暗闇の中に光るランウェイが用意された会場。そこを勢い良く登場したモデルたちは、メタリックな光沢のアウターや、ブルーとイエローを纏ったアイテムを着用し、会場の雰囲気と相まって非常に強い存在感を放っています。
そんな存在感のある洋服ばかりでも、一着一着のサイズ感やシルエット・ディテールなどは計算され尽くしており、奇抜さの中にも繊細さを感じる雰囲気が印象的でした!(矢口)
9月4日
BALMUNG
毎シーズン常に新たなアイデアや想いを洋服で表現するファッションデザイナーには、幼少期や青年期に何かしら特定のカルチャーやムーブメントに影響を受けている方も少なくありません。
今回コレクションを発表したBalmungのデザイナー・Hachiからは、2000年代初頭に流行した東京のサブカルチャームーブメントを強く感じました。
コレクションテーマは「movement / circle」。
カルチャーが生み出す運動や流行、価値観、時計や機械なども意味する「ムーブメント」と、円や輪・集合体など概念を意味する「サークル」。一つの言葉に多くの意味を持つ言葉を掛け合わせた文言をテーマに設定しました。
四谷の撮影スタジオの会場内には2階建ての鉄筋ランウェイが建設され、コスプレイヤーやDJ、音楽プラットフォームのSoundcloudで人気を博した歌手など、様々な背景を持つアーティストがモデルとして集結します。
グレーや優しいブルーを基調にビビッドなイエローを掛け合わせたメリハリのあるルックや、アーティストの村田実莉が手がけた、SF風のグラフィックを施したハイネックなどが印象的でした!(矢口)
9月4日
O0u
アダストリアの完全子会社のアドアーリンクが手がける、ライフスタイルウェアブランド・O0u(オーゼロユー)。国内の大手メゾンで研鑽を積んだ近藤満を代表に、「新しい、ふつう。新しい、かっこよさ。」をコンセプトに持続可能な服づくりに取り組んでいます。
ブランド初となるランウェイショーのテーマは「LIVING IN A CIRCULAR WORLD」。青梅のテレコムセンターを会場に、コンフォタブルとプレイフルを両立したルックにメンバーも感激しました!
カラーパレットはホワイトに、フリルやギャザーなど細部で一癖加えている点が印象的です。着用シーンを選ばない程度にモードな遊び心を表現している点には、あくまでも日常使いができるウェアを作るという近藤デザイナーの想いを感じました。
また、もう一点印象的だったのがラップスカートです。
ウィメンズではレイヤードによる深みと素材感の変化による視覚的なアクセントを演出し、メンズではモード感とシンプリシティが共存した絶妙な新しさを生み出しています。
どちらのルックも足下の絶妙な肌見せが見ていて心地よく、全体的にバランスの良いルックの数々にメンバーも心を奪われました!(矢口)
9月日
WISHARAWISH
タイ人デザイナーのウィシャラウィッシュ・アカラサンティソックが手がけるブランドWISHARAWISH。
デザイナー自らがタイ中を旅して築いてきたスタイルを用い、手織りによって造る独特なパターンに定評がある同ブランド。今回は「ReVisited(再訪)」をテーマに、これまで同デザイナーが培ってきたクリエイションを再解釈しました。
ルック前半のカラーパレットはブラックに、徐々に色とともにボタニカル柄を鮮やかに表現することで、ルックにストーリー性を感じます。一部のルックに使用されているラメ糸やスパンコールも良い仕事をしています。歩くたびに布が輝く様には見ていて思わず見惚れてしまうほどです。
タイの洋服と言えば幾何学模様が有名ですが、そこにプリーツ加工やシースルー素材を追加するのがWISHARAWISH流。幾何学模様に立体的な楽しさが生まれ、会場の渋谷ヒカリエの真っ白な床とのコントラストが何とも美しいです。
さらに、今回は細かなディテールやアクセサリーなども印象的。腹巻を彷彿とさせるウエストのみがタイトになるルックや、拡大化させたベルトやスカーフ。シルエットに緩急がある点も、非常に計算されているなと感じました。(矢口)
<メンバー&メンターの感想>
本日は、WISHARAWISHさんというファッションブランドのランウェイショーを見に行かせて頂きました。個人的に私自身がよく着る服の系統は全身黒だったり白だったりとモノトーンな事が多く、あまり原色を取り入れないためチャレンジしにくいと感じていましたが、今回のWISHARAWISHさんのランウェイの衣装では原色ではありながらも色の主張が強すぎず、またデザインも好みなデザインが多かったので、今後の私自身のファッションに少しずつでも色味を足していけたらと思いました。また、音楽にもこだわっていたのか、モデルさんのファッションのデザインが変わるタイミングで音楽の雰囲気が変わる部分があり、工夫されているなと感じました。(成城大学1年/新関桜子)
すごく色使いが派手だったり、ボリュームがあるわけではないけれど、一つ一つが繊細で、上品な肌見せや、色使い、すごく自分好みのファッションショーでした!
黒のシースルーのソックスを履いたルックが多く、ドクターマーチンとの合わせも素敵でした。空間をを広く使ったファッションショーで、一部を見つめていても、数体のモデルさんが目に入り空間デザインとしても面白かったです。
本当に上品で、ディテールまでこだわっていて、リアルクローズの本質の良さが伝わるファッションショーでした!
テキスタイルも、シルエットも、生地の質感も何から何まで素敵で、もっと近くで見たいと思わされました。
ファッションショーが終わってからも、音楽が流れていて会場を出るまでファッションショーの熱が冷めることなく送り出してくれて、素敵な気持ちになりました!(文化服装学院1年/ryu)
9月5日
YUEQI QI
楽天ファッションウィーク4日目の最後にフィジカルショーを開催したのが中国人デザイナー、ユェチ・チによる自身の名を冠したブランド、YUEQI QI(ユェチ・チ)です。
彼女は名門セントラル・セント・マーチンズを卒業後にCHANELの刺繍アトリエで働き、自身のブランドを立ち上げた今でもGUCCIとのコラボレーションを実現するなど、これまでに培った精巧で華麗なビーズ刺繍は業界内でもお墨付きです。
そんな彼女は今回国立競技場を会場に、職人が1つ1つ叩いて造る鍛造鉄と、大量生産を目的として一気に造られる鉄格子、その製造過程の対比を表現しました。
さらに今回は、ヘッドピース制作にアーティストの河野富裕、ウェアに「Adidas」と「UGG」も加わり、2人の職人による繊細で優美なクリエイションと、カジュアルストリートブランドのアイコニックなデザインのマッチングにメンバーも興味津々です。
作り手の技術が恐ろしくハイレベルだからこそ、ルック全体の雰囲気にカジュアル感を加えることであくまでも洋服として親しみやすい印象を与えており、フィナーレには会場中から割れんばかりの拍手が送られました!(矢口)
<メンバー&メンターの感想>
国立競技場でのファッションショーというワードがもうインパクト最強で、とても楽しみにしていました!でも、その想像をはるかに超えてくれて、最初から最後まで気持ちが高揚していました。
会場の赤く照らす照明も、グラウンドもマッチしていて、本当に素敵な空間でした!
リアルクローズではないかもしれないけど、普段1アイテムとして着れたらテンション上がるなぁ、と思うようなお洋服で溢れていて、一つ一つの繊細さできゅんきゅんしてしまうようなファッションショーでした!一つ一つもっと近くで見たい、手元で見たいと思うファッションショーでした!(文化服装学院1年/ryu)
9月7日
MARRONNIER COLLEDGE OF FASHION DESIGN
楽天ファッションウィークの期間中は、アパレルブランドの新作コレクションの他にも魅力的なイベントの数々が開催されるのも特徴です。今回我々が向かった先は、大阪で75年の歴史を誇るファッション教育の専門学校、マロニエファッションデザイン専門学校のコレクション。「ART of passion」をテーマに、渋谷のヒカリエホールで学生たちによる大規模なランウェイショーが開催されました。
印象的だった点が、一体一体のルックの精巧さと面白さです。これでもかというほどチュールやパッチワーク、特徴的なペイントなどを用いたルックや、中には西洋の騎士を彷彿とさせる甲冑のようなルックやスカジャンをドレスのように拡大化させたルックなど、そのアイデアの大胆さには、さすが洋服作りを学ぶ学生だなと思わず笑みがこぼれます。
特にファーストルックで登場したブラックのドレス。
インスピレーション源は西洋の伝統文化と人間の精神面に共通点を見出して制作したものだそうですが、ヘッドピースを含め体の至る所に人間の渦巻く感情を連想させるような大きな装飾が見られ、その美しさにはメンバーも思わず息を飲んでじっくり見入っていました。(矢口)
<Rakuten Fashion Week Tokyo全体の感想>
⚫︎ファッションショーは、ファッションだけではなく、会場選びや音響、照明、スタイリングやモデルさん、一つ一つが細部までこだわっていて、どのファッションショーも違くて、とても面白かったです。私はショーが始まる前の会場が一気に緊張感に包まれる瞬間が大好きで、今まではそれを画面越しで感じていたけれど、初めてリアルに感じることができて、とても嬉しく感動しました。
プロのファッションショーを見ることは私の一つの夢でもあったので、今日また一つ夢が叶いました。
そしてファッションショーを創り上げる側になるという夢を叶えるために日々努力します。(文化服装学院1年/ryu)
⚫︎今シーズンのRakuten Fashion Week Tokyoを通じて感じた事が、ステージに立つモデルの方々はあくまでそのファッションブランドのステージのためか、メイクアップがそこまでこっていなかったという新しい発見をすることが出来る機会でした。(成城大学1年/新関桜子)