毎シーズン、ルックはもちろんゲストや演出も話題となるTAE ASHIDAのランウェイショーを見学させていただきました。
日付:2024.10.9
不朽のエレガンスをベースに、都会的なモダンさと洗練を取り込んだコレクションで、東京のファッションシーンを牽引してきた、デザイナー芦田多恵氏のコレクションブランド「TAE ASHIDA」。そのランウェイショーは毎シーズン新鮮な演出でも注目を集めています。今回も、FFi大学生メンターで、ファッション系インフルエンサーとしても注目されている矢口裕久@hiro_runwayがレポートします。
デザイナーの芦田多恵氏が手がけるTAE ASHIDAの2025年春夏コレクション。
会場となった新宿の住友ビル・三角広場には芸能界や政界など各界からの大物ゲストが招待され、会場入り口には著名人たちの名前が載ったお祝いの花の立て札が並ぶ。FFiメンバーも興奮気味で会場の雰囲気に酔いしれ、まるでこれからガラパーティーでも始まるかのような空気感が流れる中でランウェイはスタートした。
今回のテーマは「自然融解」。
洋服が風や光を纏うことで、着る人と自然が溶け込み合って一体化するようなイメージから着想を得たと語る芦田デザイナー。全体のルックは終始モノトーンやアースカラーをベースに程よい肌見せと体のラインを強調したアイテムで構成され、随所に見られるビビッドで人工的な蛍光色と絶妙なバランスで混じり合っている。
前半はシャツやパンツ、ワンピースといったベーシックなアイテムが並び、ルック後半には白を基調としたイブニングドレスが登場する。イブニングドレスは王道のAシルエット、そこに大胆な大輪の花の刺繍やさりげないスパンコールを用い、自然の落ち着いた豊かさや美しさを上品に演出している。
中でも観客の注目を集めたルックが、光沢のあるオーガンザをティアードワンピースのように段々と、かつ不規則に重ねたドレス。モデルが歩くごとに風で大きく布が膨らんで光を反射し、まるで波打ち際の水面に光が反射して煌めくような、そんな風情のある美しさを感じる。これにはFFiメンバーも目を輝かせながらドレスに釘付けになっており、いかにこのルックがメンバーたちに衝撃を与えたかを物語っていた。
また、個人的に印象に残った点が、発表されるルックや招待されたセレブリティの雰囲気から感じたTAE ASHIDAのブランドとしての「若さ」だ。デザイナーの芦田多恵氏と言えば、上皇后美智子様の専任デザイナーとして名を馳せた芦田淳氏を父に持ち、TAE ASHIDAのブランド自体も都心の上品なママさん世代を顧客に多く抱える、伝統や品を重んじる厳格なブランドというイメージが強かった。しかし今回感じたことは、上品さはそのままに、そこに若さや遊び心がプラスされているという点。
変わり続ける時代に対応し続け、跳ぶ鳥を落とす勢いで挑戦を続ける芦田多恵デザイナー。近年ではブランド初となるメンズラインもローンチさせ、未だその挑戦心は尽きないのだろう。日本のアパレル界を支えるそんな彼女の動きには、今後も注目だ。(FFi大学生メンター/矢口裕久)


